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MT車の高騰は「たまたま」ではない

 上の事例は「たまたま運がよかっただけ」と思われるかもしれないが、MTのスポーツカー市場が高騰していることには明確な背景がある。

 しばしば原因として挙げられるのはアメリカの「25年ルール」と呼ばれる法律。この法律によって、アメリカの保安基準に適合しない車(海外で新車登録された車)であっても、25年が経過した車両については「アンティーク」扱いとなり例外的に輸入が許可されるのだ。

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「ワイルド・スピード」シリーズといった映画や、レースでの実績によって海外にも名の知られた古い日本製スポーツカーが、製造から25年が経てば、アメリカ市場に解禁されるようになったわけである。それを契機に、国内における80~90年代のスポーツカーの流通量低下と価格高騰が引き起こされた。

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「25年経ったスポーツカーは高騰する」ことが定説となり、2000年代のスポーツカーに先行投資を行う業者やマニアが増えたことで、登録から25年を迎えていないモデルも高騰している状況だ。

高騰相場は今後も続く?

 中古車市場におけるMTスポーツカーの価格高騰は、古いモデルに限った話ではない。もともとMT車は下取りにおいて有利な傾向にあったが、その流れを加速させるさまざまな要因がまだまだある。

 2030年以降の見通しとして政府が示した「ガソリン車新車販売禁止」の方針がその一つだ。ガソリンのみを動力とするモデルは、これから年々減少していくことになる。

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 MT車に乗る層にとって、エンジンの吹け上がる感覚がもたらす「ダイレクトな操作感」は必須のものだろう。各メーカーのスポーツモデルがハイブリッド化を余儀なくされるなか、「純粋なガソリンスポーツカーに乗りたい」という層は残ると予測できる。

 今後の中古車市場において、スポーツ系車種の「最後のガソリンモデル」が高騰していくことは想像に難くないというわけだ。