去る11月13日、私は56歳の誕生日を迎えた……いや、この原稿はそれより前に書いているので、正確には誕生日を迎えているはずだ。

 自分へのプレゼントを買う、旅行に行く、などの予定はない。しかしありがたいことに、お祝いの手紙などをくれる将棋ファンの方はおり、そんなときは棋士の幸せを噛み締める。

 今年の誕生日は名古屋で対局の予定だ。なお対局日の棋士はピリピリしていることが多く、周囲も声掛けは控えるのがマナー。だから私も、この日は言葉を発することすらほぼ無いであろう。

 誕生日とは、平たく言えば一つ年を取る日。節目の年齢で周囲にこれを言われると少しカチンとくる。

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source : 週刊文春 2024年11月21日号