「遺産目当てだということを、私は誰にも隠していません。社長も私に遺産をもらってほしいと。結婚したのは、お金の関係です」
証言台に立つ須藤早貴被告(28)は、はっきりとそう言い切った。社長とは元夫。“紀州のドン・ファン”と呼ばれた、和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏(享年77)のことだ。
2018年5月24日の夜。野崎氏は田辺市にある自宅2階の寝室で息絶えているところを、55歳年下の新妻だった須藤に発見された。死因は、多量の覚醒剤を経口摂取したことによる急性覚醒剤中毒。
「今年9月、野崎氏に対する殺人罪と覚醒剤取締法違反の罪に問われた須藤の裁判員裁判が、和歌山地裁で始まりました。検察側はこれまで、野崎氏の元妻や愛人、覚醒剤の密売人、会社の元従業員ら、総勢28人の証人尋問を実施。11月8日からは、ヤマ場となる被告人質問が行われています」(司法担当記者)
検察側は、野崎氏の死が須藤による遺産目当ての殺人事件だと断言。対して須藤は、金目当ての結婚だったことを堂々と認めたうえで「殺していないし、覚醒剤も飲ませていない」と無罪を訴えているのだ。
野崎氏の遺産総額は、少なくとも13億円以上。必然的に、この公判では野崎氏と須藤の異様な夫婦関係に焦点が当てられた。
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source : 週刊文春 2024年11月21日号