建設会社の社長以下4人組は56歳の同僚に暴行を繰り返した挙句、踏切に連れていき……。逮捕後、社長の母親は「被害者に万引き癖が」と信じがたい言い訳を――。

 2023年12月3日午前0時7分頃、東京都板橋区徳丸4丁目の住宅街。東武東上線の線路と並行する一方通行の路地に、2台の車が停止した。東武練馬駅と下赤塚駅の中間あたり。間近には、車の通れない幅狭な踏切がある。

 ほどなくして、踏切警報機が電車の往来を告げる警音と点滅を繰り返す。すると、下降した遮断桿をくぐり抜け、線路内に侵入する人の影があった。午前0時8分台、池袋行き上り電車のヘッドライトが、線路上に両手を上げて立つ男性の姿を照らし出す。運転士は慌ててブレーキをかけ、電車を急減速させたが――。

「ドーンって変な感じの音がして、ギーッと電車のブレーキ音が響きました。しばらくして救急車が来ましたが、ここは人身事故がよく起きるので、ああ、またかと」(近隣に住む女性)

現場となった踏切

 撥ねられたのは、東京都小平市の建築塗装会社「エムエー建装」(以下M社)の元従業員・髙野修さん(当時56)。同日午前2時3分、搬送先の病院で死亡が確認された。頭部の骨折などがあり、死因は多発性外傷と判明した。

 飛び込み自殺かにみえた髙野さんの死。しかし、当初から不可解な点も存在した。捜査関係者が振り返る。

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source : 週刊文春 2024年12月19日号