2025年1月20日、ドナルド・トランプがホワイトハウスに戻ってくる。「米国第一主義」を掲げる“壊し屋”が推し進める「トランプ2.0」は、日本経済にどのような変革をもたらすことになるのか。この程、『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』(文春新書)を上梓した“伝説の投資コンサルタント”齋藤ジン氏がその先行きを展望する。

 齋藤氏はバブル期に都銀に入行した後、退職して渡米。アメリカの金融コンサルティング企業での勤務を経て、新会社を立ち上げた。今では、日米の市場関係者や大手企業がこぞって高値でレポートを買い求める存在だ。そんな齋藤氏は、3年ほど前から名だたるヘッジファンドに対し、こんな説明を繰り返してきた。

「新自由主義的な世界観が終焉し、勝者と敗者が劇的に入れ替わる。日本は勝ち組に入るのです」

“伝説のコンサル”齋藤ジン氏

 背景にあるのは、世界経済システムを仕切る“カジノオーナー”ことアメリカによる“ルール変更”だ。

「過去30年の新自由主義的なシステムにおいて、最大の恩恵を受けてきたのが中国でした。17年の『トランプ1.0』とは新自由主義への反乱です。米中デカップリングが進む中、覇権国家アメリカの国家的命題は中国を抑えることになりました。そのメインシアターが東アジアとなった今、アメリカのパートナーになれるのは日本だけなのです」

 これは、アメリカが日本を再びカジノの“勝てる席”に誘うことを意味する。

次期財務長官の狙い

「一度目は、冷戦下のソ連を封じ込めるために日本の経済発展を援助したときでした。ところが、アメリカ経済を脅かす存在になると、今の中国のように“日本叩き”が始まります。特に半導体産業はアメリカに潰されたわけですが、今回はアメリカの協力下で政府が主体となったサプライチェーンの再構築が行われています。今後は日本企業が国内の生産基盤を強化する動きや、アメリカから日本への投資が進むでしょう」

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source : 週刊文春 2025年1月2日・9日号