世界各国の家族制度や識字率、出生率をもとに、「ソ連崩壊」、「米国の金融危機」などを予言してきたフランスの歴史家エマニュエル・トッド。新刊『西洋の敗北』では、ウクライナ戦争の帰趨を予測する。

 予言の書である本書の理解にはトッド理論の家族四分類の知識が不可欠だ。

 ①英米型の絶対核家族(親子別居で兄弟不平等。自由主義で差別容認)②ラテン型の平等主義核家族(親子別居で兄弟平等。自由主義だが平等主義)③ドイツ・日本型の直系家族(親子同居で兄弟不平等。権威主義的で差別容認)④ロシア・中国型の共同体家族(親子同居で兄弟平等。権威主義だが平等主義)

 というのも、トッドはウクライナ戦争の本質は①の絶対核家族と④の共同体家族の対立にあると見なしているからだ。

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source : 週刊文春 2025年1月2日・9日号