新年の三が日も明けた、夕暮れ前。その女性――どこか有名女優をふくよかにさせたような相貌のA子は、都内の住宅街にいた。ボブヘアーの茶髪に、濃い色のスウェット、裸足に黒いサンダル姿だ。
――A子さんですか。
「はい」
――週刊文春です。
すると、彼女はハッとしたように表情をこわばらせた――。
三菱UFJ銀行で貸金庫窃盗事件が発覚してから2カ月余り。ついに小誌は“容疑者”を発見した。
時価総額22兆円を誇る日本最大の金融組織、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)。その中核をなす三菱UFJ銀行で、世間を震撼させる不祥事が発覚したのは昨年10月末だ。社会部記者が解説する。
「女性行員A子が2020年4月から昨年10月までの間、都内の練馬、玉川の2支店で顧客の貸金庫から金品を盗んでいたことが発覚しました。当時A子は営業課長など支店責任者を務め、支店が保管するスペアキーを使用して無断で金庫を開けていた。被害額は十数億円、被害者は少なくとも約60人に上ります」
12月16日には三菱UFJが謝罪会見に追い込まれ、半沢淳一頭取(59)が「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすもの」「心よりお詫びを申し上げます」と頭を下げた。
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source : 週刊文春 2025年1月16日号