60年前の正月、焦りに焦っていた。生まれて初めて東京で迎える正月だ。それまでは12月のクリスマス前から成人式の後まで岡山に帰省していたが、この年は卒業論文を提出する年だ。1月中旬が締め切りで、1分遅れても受け付けてもらえない。
一行も文章を書いたことのない(作文は親に書いてもらっていた)有為の青年が、100枚の原稿を書くのだ。4畳半の下宿の万年床の上に置いたコタツで寝る間を惜しんで書いていた。書く間を惜しんで寝ていたと言ってもいい。
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source : 週刊文春 2025年1月23日号