“千年に一人の逸材”、“Xのフォロワー数が日本人女優最多”、“時代を象徴する俳優”。年末のNHK名物番組で、こう華々しく取り上げられた橋本環奈。だが彼女には、番組の密着カメラにも一切映らない“流儀”があった。
不穏な雰囲気を漂わせる音楽とともに、低く抑制された声でこんなナレーションが流れてきた。
「週刊誌の記事をきっかけに自身へのネガティブな憶測が拡散されていた」
画面はNHK大阪放送局の地下駐車場に切り替わる。カメラが捉えたのは黒のアルファードから降り立つヒロイン。スッピンに黒縁メガネ姿で、どことなく疲れを滲ませる。待ち構えていたディレクターは「大変でしたね」と声をかけた。
NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」。様々な分野のトップランナーに長期間密着してその人の仕事や人柄を掘り下げてきた。そんな名物番組が昨年12月30日、「特別版」と銘打って取り上げたのが、朝ドラ「おむすび」の主演である橋本環奈(25)だ。
「7カ月間の密着取材の模様が72分間にわたって放送されましたが、主に『おむすび』撮影の舞台裏で構成されており、朝ドラの番宣の色合いが濃かった」(文化部記者)
そんな番組内で取り上げられた「週刊誌の記事」は、小誌が昨年10月31日発売号で報じた橋本の“壮絶パワハラ”のことだとみられる。記事では交際相手の俳優・中川大志との山口県下関市での逢瀬に加えて、現場マネージャーに対して「使えねえ」と叱責するなどパワハラを繰り返し、少なくとも8人のマネージャーが退社していたという衝撃的な“素顔”を伝えた。すると同日、所属事務所は伊藤功社長名で声明を発表。パワハラは「事実無根」とし、「使えねえ」などの暴言は「(証言者が)私の発言とすり替えたと考えられる」などと庇った。
そんな事態も演出上のスパイスとしたのが「プロフェッショナル」だ。週刊誌報道により「ネガティブな憶測」にさらされた橋本が、主演女優として困難を乗り越える姿が描かれたのだ。かたや橋本の“素顔”は、現場で「ガハハ」と気取らない笑いを見せ、普通は出演者が口にすることのない撮影用の料理もモリモリ食す。天真爛漫な姿が座長として現場を明るくしていることが強調された。
だが――。
「今でも彼女が出る番組を観ることができません。あの頃の苦しかった思い出がフラッシュバックするので。社長の『事実無根』とする声明文は真っ赤な嘘。文春の記事に書いてあったパワハラは、私の体験そのものです」
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source : 週刊文春 2025年1月30日号