私が選考委員を務める報知映画賞にて、「きれいに生きましょうね」をつい最近まで文春で連載されていた草笛光子さんが特別賞を受賞されました(おめでとうございます)。この賞は、主演映画「九十歳。何がめでたい」での演技に対するもの。他の委員から、草笛さんに特別賞を渡せないかと提案があり、私も意見を求められた。思わず、「私は、この映画、とても共感しまして……」と、ずれたコメントをしてしまったけど、草笛さんが本当に素敵な、面白くて心温まる作品だ。もう断筆宣言をして引退した作家が暮らす家に、唐沢寿明さん扮する編集者が足繁く通い、新たな連載エッセイを依頼する。もう書かないって言ってるでしょ! と何回も断られるのだけど、しぶとく粘り、ついに熱意に根負けし……といった具合で新連載を開始するのだ。
私がなぜ共感したかといえば、この連載を書いてる立場で映画を観ていたからである。作家でもなければ、編集者に口説かれた訳でもないし、映画にあったような豪華な手土産ももらってない。でも、オファーがきた時は自分も随分と悩んだ。これまで何度か連載をやった経験はあるけれど、文春のような週刊誌に毎週書くのは初めてだ。仕事が忙しい中、毎週この分量を書けるのか、ネタが続くのか、やるとしたら、相当な覚悟で返事をしなければならない。何度も逡巡したけど、結局最後に出した答えは「やります」だった。決心した理由は、ここ最近ずっと、頭の片隅にあって、気がかりだったこと。それは、“書くことをサボっているのではないか”と自分への疑念があったことだった。
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source : 週刊文春 2025年2月6日号