お鍋が美味しい季節ですね。
私はよく「豚と水菜だけの鍋」をポン酢で食べるんですが、この鍋をやるときはいつも映画『失楽園』を思い出すんです。失意のサラリーマン(役所広司)と美しい書道家(黒木瞳)の道ならぬ恋。その2人が“最後の晩餐”として選んだのが「鴨とクレソンだけの鍋」でした。
ステーキの横にいてるだけかと思ったクレソンを鍋にするというのが、もう色気ありますよね(豚と水菜とはエラい違いです)。黒木さんは「シャトー・マルゴー」を飲んでました。そして2人ともその鍋にはほとんど手をつけずに、相手の顔だけをじっと見てるんですよね。
鴨はやってられないですよ。
「あんな風に胸がいっぱいになると、お腹は空かないもんなんやなぁ。いやぁ、不倫ってすごいなぁ!」と思いながらも、私は豚と水菜の鍋にシメの水餃子を次々と放り込むのです――。
Q
夫と中学生の息子の3人で暮らしています。夫は普段は家庭のことにも理解があるのですが、1つだけどうしても困っていることがあります。それは、料理をことごとく食べ尽くしてしまうことです。
例えば、夕食の唐揚げをお皿に盛り付けて食卓に並べると、息子の分までお構いなしに食べてしまいます。私が「子供の分は残しておいてよ」と言うと、夫は「だって美味しいから」と悪びれた様子がありません。さらに困るのは、息子のお弁当用のおかずも勝手に食べてしまうことです。先日は、前日に作って冷蔵庫に入れて置いた肉団子をやられて、朝に急いで別のおかずを作り直すはめに。夫は「夜中に小腹が空いちゃって。夕食の余りかと思った」と言い訳しましたが、どうも確信犯のような気がします。この“食い尽くし癖”を直すにはどうしたらいいでしょうか。
(48歳・女性 山口県)
こういう人、たまにいてますね。
息子の家庭教師がまさにこのタイプでした。阪大生だったんですが、雇うときに「(教えた後で)晩御飯を作っていただけますでしょうか」とお願いされたんですね。「田舎から大阪に出てきて、母の味が恋しいんやろうか」と、私もちょっと嬉しかったんです。だから初めの頃は張り切って夕食を作り、食後にはメロン出したり、ケーキ出したり、大サービスしてたんです。
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source : 週刊文春 2025年2月20日号






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