週刊文春で連載中の『私の読書日記』。俳優の橋本愛さんが、自身の読んだ本を切り口に、深く鋭い洞察を綴る人気連載です。今回はその一部をご紹介します。(今なら99円ですべての記事を読むことができます。99円キャンペーンは2025年5月7日10時まで)

「週刊文春電子版」ご購読はこちら

 

われらはすでに共にある

 

私がこれから記述する、極めて短期間で学んだ知識、表現、言葉には、依然として理解の足りていない内容が含まれる恐れが十分にある。また紙幅の都合上繊細なディテールを省略してしまう場合もある。至らなかった点については都度学んでアップデートしていくことを自分自身に約束する。

 

何の知識もないままに、究極的に安易な誤解をし、あらゆる人たちを気づかぬうちに排除しようとした。結果、私の大切な人たちを深く、深く傷つけた。

 

記事を読む

 

歌舞伎町、オーバードーズ、セックスワーク

 

歌舞伎町で過ごす人たちが、普段どのような生活をしているのか、とりわけ「トー横キッズ」と呼ばれる人たちや、この街で働く「セックスワーカー」たちの実情を知りたかった。歌舞伎町に普段出入りしない部外者ともいえる自分が、興味本位に面白がってはいけないし、多少の知識を得たとしても、全てを知った気になってはいけない。ただ、歌舞伎町を舞台とする作品に参加する以上、私には責任がある。

 

記事を読む

 

生きているわたしには

 

身近な人間の死を経験してから、数ヶ月が経った。私の身体と人生の半分以上を占めているような人だったから、それはそれは耐え難い苦しみだった。当然もう二度と会えないこと、二度と抱き合えないこと、その人に自分の話を語りかけることはできても、その人の日々の話を聞くことができないこと。それらは一気にやってくるのではなくて、波のように、寄せては返すものだった。

 

記事を読む

 

私が持つ特権と傲慢さ

 

『ハンチバック』(市川沙央 文藝春秋 1300円+税)を読んだ。すごかった。すごい本を読んだ。この本を前にして私は、口をつぐみ、うそ寒い言葉が口をついて出るのをただ封じて、自分の持つ特権とこれまでの傲慢さを思い知り、ただ呆然と立ち尽くすしかないような気がした。

 

記事を読む

 

インターセクショナル・フェミニズム

 

『ホワイト・フェミニズムを解体する インターセクショナル・フェミニズムによる対抗史』(カイラ・シュラー 飯野由里子監訳 川副智子訳 明石書店 3000円+税)を読んだ。フェミニズムの2大派閥、白人フェミニストと彼ら/彼女らに反撃したインターセクショナル・フェミニストの論争を描く。女性の権利を勝ち取るための戦いの途上、両者はどこで道を違えたのか。

 

記事を読む

◇◇◇

はしもとあい/1996年熊本県生まれ。独自の感性を生かして写真、ファッションなどの連載を持ち、幅広く活躍中。今後は映画「早乙女カナコの場合は」(3月14日公開)、NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」への出演を控える。

(今なら99円ですべての記事を読むことができます。99円キャンペーンは2025年5月7日10時まで)

  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春