【前回までのあらすじ】就職して約半年。マチは三笠のアヤばあを訪ね、シーズン初の猟へ。アヤばあの家に戻ると、山で夫婦がクマに襲われたと通報があったという。マチは、山で夫婦とすれ違っていた。救助隊が夫婦を捜索することになり、アヤばあも同行。マチは訪ねてきた三石勇吾と一緒に留守番することに。やがて夫婦が見つかったと連絡があり、アヤばあも帰宅した。

おにぎりと豚汁の夕食を終え、ほうじ茶を一口すすって、アヤばあは口を開いた。
「今回のクマ、普通なら三笠の猟師連中で今後の安全のために仕留めておくのが筋なんだけど、そうもいかないかもしれない」
「なんでだ。どうしてそうなる」
マチが相槌を打つ前に、勇吾が苛ついた声で続きを促した。アヤばあはふう、とひとつ息を吐いて眉間を揉んだ。
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source : 週刊文春 2025年5月15日号






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