『ヨソの番組乗っかりクイズ 寄生番組パラサイト』は、テレ東の様々な番組の収録現場などに“寄生”して、勝手にクイズをつくるというコンセプトの、一応は「番宣番組」だ。「一応」と書いたのには理由がある。演出は板川侑右。彼は『勇者ああああ』でも、ゲーム番組という名目でやりたい放題やっていたのと同様、「番宣」という大義名分で悪ふざけしまくっているのだ。

 たとえば、4月からの新番組を説明する編成説明会に“寄生”して出された4択クイズがこれ。

「『失踪人捜索班 消えた真実』、『ワンにゃフル物語』、『JAPANをスーツケースにつめ込んで!』、『あっぱれ! 良純城』――4月から始まらない番組は?」

 選択肢から「こんな番組、本当にある?」という思いが透けて見える“性格の悪い”クイズだ。しかも、回答者であるマヂカルラブリーとアルコ&ピース4人が話し合って回答を決めるという仕組み。だから「いま、『消えた真実』ってつけるか?」など自然と悪口が出てしまうのを番組側が狙っているから、また“悪い”。

 さらに『失踪人捜索班』に“寄生”してつくった問題は、主演の町田啓太へのインタビューの答えからの出題。それだけなら真っ当だが、同じ質問を個性的な風貌と言動でおなじみの動物研究家・パンク町田に聞き、「どっちの町田」が答えたかを予想するクイズに仕立てたのだ。完全にふざけている。

 そして4月14日に放送された回では、新動物番組『ワンにゃフル物語』を番宣――のはずが、その番組の収録が始まっておらず、クイズをつくる素材がないという。なら、別の番組にしようと考えるのが普通だが、この番組はそうではない。代わりにテレ東を代表する動物番組『ペット大集合! ポチたま』の素材でクイズをつくるというのだ。題して「VTRからスタジオに降りた その時、柴田理恵は…クイズ」。柴田が泣いたかどうかを予想する2択クイズ。それに「感動ギャンブル」と名付けているのもヒドい。ちなみに『私のバカせまい史』(フジテレビ)でもバカリズムが「柴田理恵号泣史」をプレゼンし「日本で一番泣き顔を見せた芸能人」だと評していた。予想通り、動物との別れを描いたVTRのあと、柴田は泣く。バカリズムのいうところの「中泣き(拭い泣き)」だ。それを当てて喜ぶ面々に「泣いてる人を見て『やっしゃー!』って」と笑う板川。「問題作ったのそっちだろ!」という酒井健太のツッコミがもはや正論だ。

(4/14放送より)

 ゲラゲラ笑って、基本的には何も残らない番組だ。けれど、「ああ、あんな風に悪ふざけの素材に使われた番組があったなあ」と妙に記憶に引っかかる。だとするなら確かに「番宣番組」なのかもしれない。

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source : 週刊文春 2025年5月15日号