「なんか1回戦(第1試合)から盛り上がりすぎだよ!」「なんだ295(点)ってバカヤロウ!」「裏で芸人、ガタガタ震えてるよ!」「普通、盛り上がりってこう(上がっていくもの)だろ! どう考えたって落ちるしかないよ!」
マシンガンズの漫才はそんなボヤキから始まった。これぞ、『THE SECOND~漫才トーナメント~』だと思った。競技化して完成度を追求した隙のない漫才とは一線を画す人間味あふれる漫才だ。マシンガンズは、2年前の第1回『THE SECOND』で準優勝。その後「#自撮りおじさん」がバズり、まさかのデジタル写真集が出版されるという展開までになった。ある意味で“THE SECONDドリーム”をもっとも味わったコンビだろう。

この日は、初戦でツートライブが300満点中295点という驚異的な高得点を叩き出した(その勢いのまま優勝)興奮冷めやらぬ状態で登場。彼らの「心の師匠」だったというはりけ~んずと1回戦で対戦した。実に楽しそうに漫才を披露するも、277対288で敗退した。
そんな中、本大会でもっとも注目された対戦が第4試合だろう。唯一、3年連続でグランプリファイナル進出を果たした金属バットと対戦したのが、なんと結成54年目の大ベテランのザ・ぼんちだったのだ。彼らはいわずとしれた『THE MANZAI』(フジテレビ)から始まった80年代の「マンザイブーム」で華々しく活躍した“レジェンド”。レコードも大ヒットし、漫才師で初めて武道館公演も実現させた。そんな彼らは「刺激もらわんとね、このまま死んでいくの嫌」(おさむ)と、昨年から『THE SECOND』にも挑戦。「去年よりいい漫才やれる自信ある。だから出てきました」(まさと)という言葉通り、今回は昨年敗れたハンジロウにリベンジを果たし、グランプリファイナルに進出した。
飛び跳ねるように入場してきたまさとと、いつものように奇声をあげるおさむ。「みなさん、ご機嫌みたいですよ」とまさと。
老いてますます盛んを体現するようにおさむは舞台狭しと動き回りながら、わけのわからないことを叫び続ける。時に何を言っているのかわからないこともあるが、それは昔から変わらない。
「メッシ、メッシ……おかずも食べなさーい!」
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source : 週刊文春 2025年6月5日号






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