第3回 五輪組織委員会はなぜ「週刊文春」にキレたのか

2021年4月9日配信分

「週刊文春」編集長

先週、お送りしたニュースレターでご報告した通り、東京五輪組織委員会から、先週号の「白鵬、海老蔵、後援者…森・菅・小池の五輪開会式"口利きリスト"」及びその概要をスクープ速報として配信した「『AKIRA』主人公のバイクが…渡辺直美も絶賛した『MIKIKO チーム開会式案』の全貌」について、発売中止と回収の要求を受けました。編集部の対応については発表していますが、まず、この間の経緯からお話ししたいと思います。

 先週号が発売された4月1日夜7時半過ぎ、担当記者から「こんなのきました」とのメールが入りました。

 組織委員会の戦略広報課からのメールには、「添付の通り、抗議するとともに、善処を求めます」とありました。そして、添付された橋本聖子会長名の抗議文を読み進めていくと、仰天する文言が次々に飛び出してきました。

 <秘密情報を意図的に拡散>、<組織委員会の業務を妨害>と激しい言葉が続き、さらには、不正競争防止法違反の罪、業務妨害罪に小誌が加担しているとも。その上で、「発売された雑誌を直ちに回収し、今後の販売を中止せよ」との要求が記されていました。

 正直、記事について抗議を受けることは珍しいことではありません。ですが、政治家や企業などの公共性の高い人物や組織から、雑誌の回収や発売中止を要求されることはほとんどありません。民主主義国家の基礎である「言論、出版など表現の自由」については憲法で保障されていますので、これを侵すことは、かえって要求者が批判を浴びるからです。

 驚いてばかりもいられないので、回答の準備に入りました。そうこうしているうちに、組織委員会がHPで抗議を公表し、スポーツ紙がネットで報じ始めました。こうなれば、回答だけでなく、読者の皆さんにも説明が必要です。その文章の準備も進めることになり、木曜日の夜は更けていったのです……。

 前置きが長くなりましたが、組織委員会はなぜ、このような異常な要求を出したでしょうか。まさか、「週刊文春」が「はい、すみませんでした。雑誌を直ちに回収します」と言うと思ったのでしょうか。さすがに、小誌をそんな物分かりのいい雑誌だと考える人はいないはずです。あるいは、「この抗議で続報を止めたかった」。これも逆効果です。むしろ、こんな要求をされたら、小誌としても引けなくなります。その結果が、今週号の右トップ「回収要求された小誌だから書ける 橋本聖子のウソを暴く『内部告発』5連発」です。

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source : 週刊文春

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