【前回までのあらすじ】三笠の山で夫婦がクマに襲われ、妻が重傷を負った。マチは、クマの駆除に自分も参加したいと願い出る。駆除一日目、マチはアヤばあ、勇吾、新田と山へ入るが、この日は駆除は難しいと判断。翌日、四人が山で捜索しているところに熊野も合流する。そこに知らない男二人が現れ、「ゆるハンター」名義で狩猟の配信をしている近藤と小見山だと名乗る。

飛び込んだのは、背の高いイタドリの塊のような藪だった。しかも、草の長さで分かり辛いが、かなりの急斜面だ。朝からの霧で濡れた葉が全身を叩く。
草で隠れた地面がどれぐらい下なのかも見えない。マチはとっ、とっ、と足の裏が地面を捉えるたびにうまく重心を移動させ、ぎりぎり転ぶことなく下りきった。
「ああ、もう」
正直、ひやりとした。人を追っている時でもなければ、マチはここまでの坂を駆け下りるような無謀なまねはしたくない。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
-
月額プラン
1カ月更新
2,200円/月
初回登録は初月300円
-
年額プラン
22,000円一括払い・1年更新
1,833円/月
-
3年プラン
59,400円一括払い、3年更新
1,650円/月
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2025年7月3日号






お気に入り記事