5秒ルールを提唱している人がいる。朝起きたら「5・4・3・2・1」のカウントダウンでベッドから出る、次の5秒のカウントダウンでベッドを整え、次の5秒で水を飲み、次の5秒で日光を浴びるなど。
これでストレスが軽減されるという。ふつう目が覚めると、いろいろ考える。
「いますぐ起きるべきか、もう少し寝た方が健康にいいのではないか、寝るとしたら何分寝るべきか。そもそも仕事に行く必要はあるのか、行くにしても遅刻するという手もある。だが遅刻という手は使ったばかりだ。急いで家を出ると、暴走車にはねられるかもしれないし、突然の雷に打たれるかもしれない。5分間寝てから家を出ても、やはり車や雷に襲われる可能性があるのはたしかだが、5分寝た後に事故にあう方が5分間だけ長生きできる。5分ぐらいの違いはないに等しいと思うかもしれないが、5分の違いは大違いだ。5分後に処刑されるなら、ドストエフスキーがやったように、友人との別れに2分、自分のことを考えるのに2分、残りの時間をあたりの風景を眺めるために……という時間の使い方ができる。しかもその間、ラーメンを作って、その上それを完食することもできる」
などと考えているうちに30分たち1時間たち、ついには仕事を休んでしまう。
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source : 週刊文春 2025年7月24日号






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