外見でダマされてはいけない。わたしは見た目が上品であるばっかりに、無欲な人間だと思われているが、実際には物欲が強い人間である。幼少期からほしい物があると買ってくれるまで絶対に妥協しなかった。
家族旅行でデパートに行ったとき、ほしい物があると床に寝転んで力の限り泣き叫んだ。これが親にもっとも大きいダメージを与える方法だと分かっていた。
ほしがったのは、刀やピストルなどの武器だ。何と闘おうとしていたのかは不明だ。そんな武器を使うよりも、床に転がって泣き叫ぶ方が強力な武器になることぐらい、気づいてもよさそうなものだが、物欲に目がくらんでいたのである。
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source : 週刊文春 2025年7月17日号






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