「弥一郎は何に殉じたのか」最後の謎を解く奇跡的な出会いが訪れる。

 

【前回までのあらすじ】明治10年4月12日、官軍による猛攻を前に弥一郎が守る御船の地は陥落した。負けを悟った弥一郎は、陣を出ると迷いない足取りで御船川を渡る。対岸に渡ったところで地元民に大金を渡して一軒の小屋を買い取ると、その中で壮絶な自刃を遂げた。本連載は西南戦争で散った永山弥一郎の生涯を掘り起こす「同時進行歴史ノンフィクション」である。

 

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【明治10年(1877)9月23日夜 鹿児島県鹿児島郡城山】

 夜半、西郷隆盛は床を蹴って起きた。傍の従僕に「()()(酒)、焼酎、焼酎、持っ来っくれ」と声をかけると「焼酎はもうねごっないもした(なくなりました)」「そいなら水を持っ来っくれ」。大杯になみなみと注がれた水を鯨飲した西郷は、桐野利秋、村田新八らの諸将に自ら酌して回った。最後にまた自分でこれを飲み干すと、呵々大笑し、桐野の肩を衝いて、こう言った。

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source : 週刊文春 2025年8月14日・21日号