主人公・立花喜久雄の才能を見出した、上方歌舞伎名門家の当主、二代目・花井半二郎。熱演するのは、自身も“芸能界のドン”にその才を評価され、後に「世界のワタナベ」と呼ばれるようになった渡辺謙(65)である。

 ()相日(サンイル)監督の作品に出演するのは、『許されざる者』(2013年)、『怒り』(16年)に続いて3本目。

「今作は盟友である李監督からの直々のオファーでした。劇中で渡辺さんが踊るのは『連獅子』と『鶴亀』の2つの演目。4カ月ほど歌舞伎の稽古を積んだそうです」(スポーツ紙記者)

 原作小説のファンでもあり、撮影現場での気合も十分。喜久雄らとの墓参りのシーンの舞台となった、往生院六萬寺の住職が語る。

「朝6時に門が開いてすぐ、渡辺さんが一番乗りでいらっしゃいました。気さくな方で、朝は大雨だったこともあり、撮影大丈夫でしょうかと尋ねると『いや、晴れるでしょう!』と。実際徐々に晴れていきました」

 スター歌舞伎役者役としての存在感が、「圧倒的であったと思います」と語るのが、渡辺が出演した映画『てなもんや商社』(1998年)の本木克英監督。

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source : 週刊文春 2025年8月14日・21日号