改めて阪神・藤川球児監督(45)の聡明さを感じることになったのは、史上最速のリーグ優勝を決めた直後のこんな言葉学だった。

「僕はプレーオフはやるべきだと思っています。面白いじゃないですか。絶対にやった方がいい」

就任1年目で史上最速リーグ優勝に導いた

 2位以下に15ゲーム以上の大差でペナントのゴールテープを切った今年の阪神。8月上旬に優勝が確定的となると、案の定とばかりに湧き上がってきたのがクライマックスシリーズ(CS)の是非論だった。

 もちろん以前からCSには、根強い反対の声もある。特に古くからの野球関係者には「CSがあることで1年かけてレギュラーシーズンを戦う意味がなくなる」「日本シリーズの価値を貶める」等の意見があるのも事実だ。しかも今年のセ・リーグは2位以下全チームが勝率5割を切ることも想定され、CS是非論や現行制度の改革論がいつにもまして盛り上がっている。

 そんな中で飛び出したのが、藤川監督の冒頭の言葉学だったのである。

「ファンの方が、一番喜べる機会を作るのがめちゃくちゃ大事。やらなきゃいけない。周りの方を感動させ、気持ちが動くようなゲームができるものを消してどうするんですか」

 藤川監督のこの言葉に、声高にCS是非論を唱えていた人々も沈黙せざるを得ないこととなった。

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source : 週刊文春 2025年9月25日号