第二次世界大戦後、東西冷戦下、アメリカではソ連や中国の台頭への恐怖心が高まり、「マッカーシズム」の嵐が吹き荒れました。
アメリカ連邦議会下院には「非米活動委員会」が常設されました。「非米」いわゆる「非国民」を摘発しようというものです。こんな空気の中、1950年2月には共和党のジョセフ・マッカーシー上院議員が「自分は国務省(日本の外務省に該当)の中で活動しているアメリカ共産党員205人のリストを持っている」と発言します。これをきっかけにアメリカ国内のさまざまな組織で“共産主義者”とみなされた人物の摘発が始まります。これがマッカーシズムの始まりでした。
とりわけハリウッドではチャーリー・チャップリンが共産主義者と疑われてアメリカにいられなくなったのをはじめ、映画監督や脚本家、俳優などが議会に召喚され、証言を拒否した10人が議会侮辱罪で有罪となりました。
この動きに対し、グレゴリー・ペック、ヘンリー・フォンダ、ハンフリー・ボガート、ダニー・ケイ、カーク・ダグラスなど名だたる俳優たちが反対しました。
その一方、俳優だったロナルド・レーガンやウォルト・ディズニー、ジョン・ウェインなどはマッカーシズムの旗振り役になり、ハリウッドが二分される騒ぎになりました。
こうした熱狂の中で1954年に「共産主義者取締法」が成立。アメリカ共産党が非合法化されました。
当時はリベラルな考え方を持っている人やアメリカ政府に批判的な考え方を持っている人たちも“共産主義者”の烙印を押されてしまったのです。
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source : 週刊文春 2025年10月2日号






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