異常な人間になったのだろうか。子どもが異常にかわいいと感じるのだ。子どもの声を聞き、姿を見るだけで、いとおしさがつのり、テレビを見ていて感極まって涙ぐむことさえある。

 かつて幼児の泣き声をうるさいと感じたのが嘘のようだ。いまではいつまでも聞いていたいと思う(一緒に暮らしたらノイローゼになるだろうが)。

 幼児の中にはかわいくない子がいると思っていたが、最近はどんな子どももかわいい。生まれたばかりの赤ん坊など、どれもかわいくないと思っていたが、最近ではたとえ鬼瓦や岩牡蠣のような顔をした赤ん坊もかわいいと思える。

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source : 週刊文春 2025年10月16日号