10月1日に「週刊文春 電子版」が報じた熊本県八代市の「171億円官製談合疑惑」。2022年2月に開庁した市役所新庁舎の建設における数々の問題について、内部文書とともに市の現役幹部が告発した。

　不正の背景にあったと指摘されるのが、 “八代市議会のドン”こと成松由紀夫市議と、大手ゼネコン・前田建設工業の“癒着関係”だ。

「19年8月、前田建設工業を筆頭とするJV（共同企業体）が新庁舎建設工事事業を、99.92％と異常に高い落札率で落札しました。一般競争入札の体裁を取りましたが、水面下では、参入基準を引き下げて市の公共事業の実績がなかった前田を建設業者リストに加え、競合企業を弾くために前田に有利な評価基準を設定するなど、 “前田ありき” の総合評価基準案が作成されていたのです。

　さらに落札直前、前田が成松市議を通じて『採算が合わない』と言い出し、“不足金額”の増額を要求してきたのです。市は入札不調を避けるため、辻褄合わせのための設計図書変更や追加発注するなどしたため、10億円規模の不正に加担することとなった。両者の窓口となっていたのは、前田建設工業九州支店のK建築部長（当時）と”八代市議会のドン”として君臨する成松市議です」（市現役幹部）

　市関係者が報道後の八代市の状況を打ち明ける。

「文春報道の直後、成松市議は議会事務局に顔を出し『新庁舎に絡んだ記憶は無い』『俺が前田を入れろとか言っていない』などと関与を否定していました。報道各社への対応や支援者への説明に備え、報道直後から市職員を巻き込んだ“作戦会議”を開いていたようです」

「週刊文春」の取材に対しても、当初から成田市議は「Kさんはよくわからん」と繰り返し、前田との関係や新庁舎への関わり自体も否定してきた。