長らく未解決だった名古屋主婦殺害事件。犯行から26年後、犯人の女が警察に出頭してきた。被害者の家族と警察の執念が実った瞬間だった。学生時代は「大人しいタイプ」だったという彼女は、なぜ凶行に及んだのか。

 

▶高校時代高羽悟さんに2度チョコ、大学でもフラれて号泣

▶「鉛筆が当たって」息子の入学式で同級生保護者に激高

▶夫は名古屋大学卒一流自動車部品メーカー勤務のエリート

▶「私がいる間に絶対捕まえる」昨春赴任強面刑事の執念

 愛知県豊橋市内にある昔ながらの喫茶店で、ひと組の若い男女が向かい合って座っていた。高度経済成長も終わりを迎えた1975年のことだ。

 男は私立大学の学生で、女は受験浪人中の身だった。

「やっぱり君の気持ちには応えられないよ」

 男がそう告げると、女は突然号泣し始めた。店内の他の客から見れば、その様子はよくある男女の痴話喧嘩のようにも見えたかもしれない。だが、男は困惑しつつ内心こう思っていた。

「大学まで勝手に押しかけて来て、なんで泣かれなきゃいけないんだよ……」

 それから24年後。女は情念を募らせ、男の妻に対して、刃物を振りかざした――。

 それは1999年11月13日の昼頃のことだった。名古屋市西区のアパートに住む主婦・高羽奈美子さん(当時32)が、何者かによって刺殺されたのだ。

「犯行は当時2歳だった息子の目の前で行われた。奈美子さんは血まみれの状態で、廊下にうつ伏せで倒れ込んでいた」(全国紙デスク)

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source : 週刊文春 2025年11月13日号