26年の時を経て、犯人の女が出頭してきた名古屋主婦殺害事件。そのあまりに永い“逃亡生活”の実態は、警戒と大胆さが入り混じる、虚飾にまみれたものだった――。現地総力取材で明らかになった驚愕の真実とは?

 

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 割烹料理が並んだ店内には、約20年ぶりの再会を祝した同窓生の笑顔があった。蝉時雨が降り注ぐ1999年6月の昼下がり、母校の近くの食事処に集まったのは、軟式テニス部の元部員ら約20人。やがて一人ひとりの近況報告が始まった。

「僕は11歳年下の若い人と結婚して、今度2歳になる子供がいるんだ」

 約4年前に結婚した高羽悟さん(69)は、そんな報告をした。青春時代に想いを馳せながら食事を楽しんだ後、一同の足は自然と思い出のテニスコートに向かう。すると、いつしか悟さんの隣には1人の女性が寄り添っていた。

「私も結婚して、子育てしながらバリバリ働いて、結構大変なんだよ!」

 その女性は、かつて悟さんに想いを寄せていた。

 悟さんは、その日の出来事を鮮明に記憶している。

「高校時代は『私、頑張っているから』なんて主張するようなタイプじゃなかったから、その言葉にびっくりしました。僕は心の底から『良かったね。頑張ってね』って言ったんです」

 悟さんの妻・奈美子さん(当時32)が命を絶たれたのは、それから約5カ月後。99年11月13日の昼頃のことだった。

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source : 週刊文春 2025年11月27日号