棋士とは昔の西部劇におけるガンマンのようなもの。その西部劇でよく見られる一対一の決闘。その対決はきっと、当事者にしか分からない駆け引きがあるはずだ。

「どうした? 先に抜かないならこちらからいくぜ?」

 先に動いた方が有利に決まっている……その予想を覆し、銃を抜く相手にカウンターを合わせて勝利するのがお約束だ。

 なお、現在は「決闘罪」という犯罪になるので、実際に真似はされぬように。

 2010年、英バーミンガム大学のアンドルー・ウェルチマン博士がこの実験を行ったとネットで見た。

 参加者を2人1組に分け、相手より早くボタンを押す「決闘」をさせたところ、自発的にボタンを押した場合より相手の動きに反応してボタンを押したほうが平均0.02秒早かったそうだ。意識的な行動と本能的な行動の差とのことで、科学的根拠もあったのだ。

 ちなみに将棋のカウンター攻撃は本能ではなく、事前研究や実戦の深い読みに裏付けられたものが多い。

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source : 週刊文春 2025年11月20日号