ご馳走の料理とは、いつの時代もそう変わらない。私が子どもの頃、誕生日のお祝いの晩御飯は母が作ってくれたすき焼きだった。
鍋料理はその土地の、家庭の個性が出るもの。野菜や豆腐、そして牛肉……定番の具材に必ず加えられたのが、私が好きな車麩と角麩だった。
角麩とは愛知県と岐阜県では身近なローカルフードで、地元のスーパーで手に入る。小麦粉ともち粉とグルテンが原材料で、もちもちした食感がすき焼きの割り下の甘辛さと合わさって実に美味しい。
すでに将棋を本格的に始めていた当時の私。角麩が好きだった理由の一つはその語感が「角と歩」を連想させたから。すき焼きと家族団らん。父は美味そうにビールを飲む。古き良き昭和の思い出だ。
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source : 週刊文春 2025年12月4日号






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