6月3日に亡くなった元巨人監督・長嶋茂雄さんと“連れション”をしたことがある。長嶋さんの監督復帰が決まった1992年の12月。旧赤坂プリンスホテルの旧館のトイレでの出来事だった。

 ドラフト会議で星稜高・松井秀喜選手を引き当て、長嶋さんの監督生活は順風満帆のスタートを切っていた。ただその陰で一つ、難問を抱えていた。ヤクルトに所属していた長男・一茂さんの去就である。

 当時の一茂さんはプロ5年目。入団3年目に就任した野村克也監督の下でミーティングでは名指しで批判されるなど、苦しい立場に立たされていた。この92年には志願してロサンゼルス・ドジャース傘下の1Aベロビーチに野球留学。チームで居場所を失っていた状況だった。

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source : 週刊文春 2025年12月4日号