日本初の女性首相が誕生した2025年。大盤振る舞いの補正予算、日銀の利上げは30年ぶりの高水準に。一方で中国との関係は冷え込み、アメリカのトランプ大統領の言動には不安定さがつきまとう。日本経済の見通しはいかに? 基礎から解説。

 日本にも遂に女性の首相が誕生した2025年。「働いて働いて……」のコメントが話題になりましたが、その一方で、中国との関係は急速に悪化。2026年はどうなるのでしょうか。論点を整理しましょう。

論点1 チャイナリスク

 そもそも高市早苗氏は、首相になる前に中国に対して強硬な発言を続けていましたから、首相に就任すれば日中関係が悪化するだろうというのが大方の予想でした。自民党員はそれを承知で高市氏を総裁に選んだのだから、このような事態が起きるのは想定内だったはずです。

 それでも当初は習近平国家主席と会談をして握手の写真を撮影させていましたから、まずまずのスタートではありました。それが悪化したきっかけは、高市首相が衆議院予算委員会で台湾有事と存立危機事態の認定をめぐって答弁した内容でした。

「台湾を完全に支配下に置くためにどういう手段を使うか。(中略)それが戦艦を使い武力の行使もともなうものであれば、どう考えても存立危機事態になりうるケースだ」

 ここでいう「存立危機事態」とは、安倍晋三政権が2015年に整備した「安保法制」に盛り込まれたものです。それまで歴代の内閣は、憲法九条の規定により集団的自衛権は行使できないという見解でした。

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source : 週刊文春 2026年1月1日・8日号