「シスターフッド」という関係がたまらなく好きだ。女性同士の連帯を指すその言葉には、たとえ人間性が好きじゃなかろうと、その人が女性であるが故に理不尽な目にあっているのならば許せないから共闘せんとする、人間の善性みたいなものが詰まっているような気がするから。私はこれまでの人生でその関係に幾度となく救われてきた。だから、『バカ女26時』に惹かれてしまうのも、当然のこと。

 幼稚園から高校まで同じ学び舎で過ごしたアツコとユリは、その実2人で話したことなどほとんどなく、趣味も友達のグループも違う、正反対の存在だった。ある日、同窓会で15年ぶりに再会し、ユリが夫からひどいDVを受けていることに気づいてしまったアツコは、急にその場を抜けてユリの夫を殺害。海外はベトナムへの逃亡を企てるが、なぜか手を汚していないユリまでも強引についてきてしまう。

 殺人事件に端を発するクライムサスペンスであり、『テルマ&ルイーズ』のような雰囲気のロードムービー的な一面もある本作。美味しそうなバインミーや圧倒的なバイクの交通量、道端のゆるいネイル店など、合間から漏れるベトナム現地の雰囲気には思わず旅情を掻き立てられる。

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source : 週刊文春 2026年2月12日号