ひゅん。
瞬間、軽い音が耳を掠めた。
俺は慌てて身体を反転させて竹藪の中に逃げ込む。ほんの少し顔の向きを変えていたら、間違いなく顔のど真ん中に風穴が空いていたところだ。
俺は背後にいる妻に囁いた。
「方向を変えて逃げるぞ。俺が先導するから」
下手をすると待ち伏せされている可能性がある。そうだとしたら先頭に立つのは危険だ。妻は強張った表情で頷くと、俺の背後についた。
竹藪の中には先の尖った枝もあり容赦なく皮膚を刺すが、いちいち構っていられない。痛みに耐えながら疾走すると、中に潜んでいた野鳥が驚いて飛び出した。
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source : 週刊文春 2026年2月26日号






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