「親分親分てぇーへんだ」
そう言いながら子分の八五郎が飛び込んで来ました。ここは神田明神下にある銭形平次の住居です。
「八っつぁん、どうしたの、そんなに慌てて」
女房のお静が聞くと、
「これが慌てずにいられますか、おかみさん。事件ですよ、大事件」
と、八五郎は息を切らせ言いました。
「親分なら庭で植木をいじっておられますよ」
「こんなてぇーへんな時に何をしていなさるんだ」
八五郎は庭先にある木戸の方に回りました。
すると、江戸開府以来と言われた名御用聞、銭形平次ともあろう者が縁側に寝転び、昼寝を決めているではありませんか。
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source : 週刊文春 2026年4月9日号






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