死を意識したとき、どんな行動をとるだろうか?
そのときの行動の仕方によって、本性が現れるような気がする。ふだんは雑事に紛れていても、死を意識すると、悔いのない行動をしようとするからである。
わたしは入院する前日、風呂の給湯パイプを掃除し、シャツのボタンを取り替えた。ボタンがないので、シャツの袖のボタンを外してそれを使った。冷蔵庫を整理し、食器も洗った。このことから判断すると、わたしは家事や雑用をこなすことを何より大事と考えているように思える。
昔、胃の具合が悪くなり、絶対にガンに違いないと確信し、死を意識したことがある。わたしは当時まだエアコンのなかった大学の研究室で、汗をだらだらかきながら、誰が読むともわからない資料を作り続けた。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2026年4月9日号






お気に入り記事