これ、テーマ的に三宅香帆さんの連載のネタっぽい気がしたけど、ごめんね、こっちで語らせて。

「直美」という言葉を私は最近知った。一昨年頃から広がり始めた言葉のよう。

 医師になる者は、医学部卒業後に様々な科で2年間の初期臨床研修を修める。その後、一般的には専門医の資格を得るために3〜5年間の専門研修を続けるが、それを経ずに直接美容外科に就職することを略して「直美」と呼ぶ。なおみではない。「ちょくび」。

 同業の高須幹弥は「【楽して稼ぎたい】直美にまともな医者がいない理由【研修医終わって直ぐ美容医療】」という動画を上げ、技術的な研鑽も積まず、楽して儲けたいという意志しかない、と、直美を激しく批判している。直美は決して褒め言葉にはならない。

 私がこれを知ったのは、歌舞伎町の精神科医・伊沢純が不同意性交等容疑で逮捕されたというニュースから。伊沢は過去に6回も逮捕されているとんでもない人物だが、彼が「直美崩れ」と揶揄されているのを見て「ナオミって何?」と調べたのがきっかけだった(ちなみに伊沢は、厳密には直美ではなさそう)。

 くしくも、東京医科歯科大学出身の藤白りりというYouTuberがまさに直美で炎上していたさなかだったので、にわかにこの言葉は注目されたのだ。彼女はYouTubeの中で「自分は保険診療に向いていなかった」と言いながら、研修後の美容外科への就職(すなわち直美)を明るく宣言しているのだが、研修で感じたこととして高齢者医療を疑問視したり生活習慣病患者を「努力が見えない」と言ったり、自己責任を謳いたがる実に令和っぽい発言をして炎上してしまった。

 でも私はむしろ炎上したのが不思議だった。私は大嫌いな考え方だけど、最近の人はそういう自己責任論好きじゃん。若くて美貌を売りにする子が言うと叩かれるのかな。それも不条理。

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source : 週刊文春 2026年4月16日号