セレブ御用達の「アシエンダ乗馬学校」。指導者としてクラブを牽引するのは、馬術オリンピアンの北井裕子氏である。このクラブに衝撃が走ったのは今年3月、調教中に馬が転倒し即死したのだ。北井氏側が“不慮の事故”とする一方、クラブ内部や日本馬術連盟の関係者からは、北井氏らによる“疑惑の調教”を訴える声が複数出ており、“違法注射”の実態もみえてきた。
富と権力の象徴である「荘園」を意味するスペイン語の「アシエンダ」。その名を冠した名門乗馬クラブ「アシエンダ乗馬学校」は、横浜駅から車で約30分の住宅街にある。重厚な暖炉を兼ね備えたヨーロピアンな趣のクラブハウスは、まるで海外の高級カントリークラブのような雰囲気を醸し出す。

アシエンダは近年、優秀な馬術ライダーを数多く輩出。今年秋に開催される「第20回アジア競技大会」の最終予選会にも複数の出身者が名を連ねている。同クラブを名門たらしめる象徴的存在は、2008年の北京五輪、2016年のリオ五輪に出場した北井裕子氏である。
「アシエンダ乗馬学校の前身は、ビジネスマンだった裕子さんの父である修氏が1967年に岩手県で馬を買い付けたことがきっかけで設立された『北井厩舎』。クラブのある横浜市瀬谷区の一帯は、地主である北井一族のもの。長女の裕子さんと弟の一彰さんは、馬の英才教育を受けて育ちました」(北井家の知人)

アシエンダの入会金は30万円。自馬の管理をアシエンダに預託する場合、30万円の入厩料、月21万円の預託料の他、日々の調教料やドイツ人獣医師による馬体検査費などが加算される。都内在住の元会員が証言する。
「普段私たちは自馬(所有馬)に乗っています。会員は、裕子さんを介して数千万円を支払って、馬術の本場・ドイツなどから馬を調達してもらうのです。アシエンダには『高額で優秀な馬を買った会員を優先的に試合に出場させる』風潮があります」
さらに、クラブ内に漂う特異な空気感について次のように明かす。
「ジュニアライダーの親御さんたちは開業医など、お金持ちばかり。馬術界のカリスマである裕子さんから『あの方はいくらの馬を買ったのよ』などと言われると、会員同士の対抗心に火が付き、親御さんは競うように高額の馬を購入していくのです」(同前)
関東在住のAさんが北井氏の薦めによって、ドイツ産の名馬・バロン(仮名)を購入したのは、昨年春のことだ。
「当時9歳のバロンは海外での試合経験も多く、優秀な成績を残していたと聞いています。購入時、オーナー(Aさん)は裕子さんから『若い馬だから試合に出さないと馬自体が落ち着かない』と説得を受け、試合に出すことを許可。その後、アシエンダの競技者兼トレーナーが担当に付き、試合に向けた調整を進めていました。このトレーナーをアジア大会に出場させ、クラブの実績を作る思惑があったとみられます」(前出・乗馬クラブ関係者)
だが――。それから1年も立たない今年3月1日、悲劇は起きた。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル
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