7月7日、ジャーナリストらで作る特定非営利活動法人「報道実務家フォーラム」より、優れた調査報道を顕彰する「第1回調査報道大賞」の優秀賞(文字部門)をいただきました。受賞したのは、今年2月に報じた「菅首相長男違法接待問題を巡る報道」です。授賞理由は以下の通りです。

<報道がなければ知ることができない接待や癒着疑惑に光を当て、民主主義の正統性を問う議論を起こした。接待の細部を具体的に書き、写真も優れ、力ある者に挑む作法を熟知している。人々の、真実を知る欲求に率直に応えて突っ込むジャーナリズムが、強い者に立ち向かい民主主義の守り手となることを示した。>

 この記事が世に出るまで、長い時間と人手がかかりました(そしてお金も・・)。現場の記者たちの努力がこのような評価をいただき、うれしく思っています。<写真も優れ>とありますが、小誌のスクープを語る上で外せないのが、「写真」の存在です。今回も、菅首相の長男が総務省幹部にお土産やタクシーチケットを渡す場面までしっかりカメラに収めていたことで、接待について、先方は言い逃れすることができませんでした。授賞理由にもある通り、「力あるものに挑む」には、こうした客観的ファクトが必要です。

手土産とタクシー券を渡す菅正剛氏(左)

 

 昨年5月に報じた黒川東京高検検事長の賭けマージャンでも、写真が決定打となり、辞任に至りました。小誌には、こうしたスクープ写真を狙うプロ集団がいます。

 私やデスクの間では、キャップ格の人物の名前を冠して「X部隊」(Xは名字。今後の活動に差し障るので伏せ字とさせてください)と呼んでいます。部隊は、Xキャップの下、他誌の張り込みのエースだった2名が加わりました。記事を書くだけでなく、写真を撮ることもできる2人が加わったことで、最強チームが完成しました。この3名が中心となり、案件ごとに、何人かが加わる形です。

 以前、Xキャップと雑談していて「張り込みメシ」の話になったことがあります。店で張り込む時、彼はカレーを食べるそうです。なぜか。カレーは目線を切らずに、スプーンで口に運ぶことができるから、でした。

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source : 週刊文春