健康な生活と切り離せないのが、口の中の状態だ。しかし、昔の常識はいまや通用しない。例えば歯磨き時間は、長ければよいわけでもなくて……。虫歯予防の先進国スウェーデン式を中心に、最先端の口腔ケアを学ぼう。

 

▶歯磨きは「たった2分」「朝と夜」だけでOK

▶フロスは必須、歯ブラシ&歯磨き粉はどう選ぶ?

「昭和の父親の歯磨きの姿を思い浮かべてみてください。歯ブラシをグーで握り込み、肘を上げた状態でシャカシャカと1分間程度磨き、口の中を泡だらけにしてうがいをして満足する。これでは細かい動きが出来ず、プラークは取れずじまい。磨いているつもりで全く磨けていません。また、非常に強い力がかかってしまい、歯が削れます。だからといって、歯磨きは長ければ長いほどよいというわけでもなく、15分や20分もかけるのは平成までの常識です」

 これまでの歯磨きの常識に対して厳しい指摘をするのは、予防歯科の第一人者で大阪大学名誉教授の天野敦雄氏だ。

天野氏

 歯磨きをはじめとするオーラルケアの重要性は年々増している。健康な歯がなければ、寿命を縮めかねないという研究もある。

 昨年12月、大阪公立大などのグループは、75歳以上の大阪府民約19万人を追跡調査し、「健康な歯」、「治療した歯」、「未治療の歯」の本数を数えた。その結果、健康な歯と治療した歯の合計が0本のグループは、21本以上のグループより、男性で1.74倍、女性で1.69倍も死亡リスクが高いことが分かった。

「問題の背景には、歯を失うことで食べ物を噛むことが出来ず、栄養失調が増えているという問題があります。歯を失ってしまう原因は、主に虫歯と歯周病という歯の2大疾患です。すなわち口の健康を保つことは、健康寿命につながる非常に重要な問題なのです」(同前)

 口の健康は、歯を失いやすい高齢者をはじめ、子供から中高年まで、全ての年代が考えておきたいテーマだ。そこで今回「週刊文春」は、オーラルケアの最新常識を取材した。

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source : 週刊文春 2026年6月4日号