自供を始めた緒方にとって、最大の恐怖は松永による「通電」の痛みが蘇ることだった。そして実際に緒方家一家6名殺害に至る過程には、すべて通電が関わっていた。

北九州監禁連続殺人事件とは
 

1995年から2002年にかけて、福岡県北九州市のマンション内で発生した監禁・連続殺人事件。犯人の松永太(逮捕当時40歳)が内縁の妻・緒方純子(同40歳)と共に知人や緒方の親族などの同居相手に対して脅迫・虐待などを相次いで行い、最終的には自分の手を汚さず、マインドコントロールにより互いに互いを殺害させるように仕向けた。一連の犯行は7年に及び、犠牲者は7人にのぼった。02年に監禁されていた広田清美さん(仮名、当時17歳)が虐待から逃れ、祖父母に助けを求めて脱出したことで初めて事件が発覚し、11年に松永の死刑が確定。共犯の緒方も無期懲役が確定した。

 2002年3月7日の逮捕以来、黙秘を貫いていた緒方純子(逮捕時40)が、同年10月23日から自供を始めた。

「だからといって、それで懸念する事項のすべてが解決したわけではなかった」と、元福岡県警捜査一課特捜班のT班長(78)は明かす。

「松永(太。逮捕時40)のマインドコントロールが解けていく過程で、彼女は自分のやってきたことと、向き合わないといけなかった。そして辛い事実を正確に思い出すことにも、苦労していました。だから、取調べをやっている際に、体調を崩すこともあったと聞いています」

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source : 週刊文春 2026年6月11日号