緒方の自供で捜査は一気に進展。だが、その後も被害者2名の「死因」を特定できずにいた。T班長らが注目したのは2人に課された「食事制限」の内容だった――。

北九州監禁連続殺人事件とは
 

1995年から2002年にかけて、福岡県北九州市のマンション内で発生した監禁・連続殺人事件。犯人の松永太(逮捕当時40歳)が内縁の妻・緒方純子(同40歳)と共に知人や緒方の親族などの同居相手に対して脅迫・虐待などを相次いで行い、最終的には自分の手を汚さず、マインドコントロールにより互いに互いを殺害させるように仕向けた。一連の犯行は7年に及び、犠牲者は7人にのぼった。02年に監禁されていた広田清美さん(仮名、当時17歳)が虐待から逃れ、祖父母に助けを求めて脱出したことで初めて事件が発覚し、11年に松永の死刑が確定。共犯の緒方も無期懲役が確定した。

 2002年9月18日に、松永太(最初の逮捕時40)と緒方純子(同40)を、緒方の姪である緒方花奈ちゃん(仮名。死亡時10)への殺人容疑で逮捕した。これが、彼ら2人への最初の殺人容疑での逮捕である。

 それに続いて、2人を10月12日に、緒方の父である緒方孝さん(仮名。死亡時61)への殺人容疑で逮捕した。その後、10月23日から、これまで黙秘を貫いていた緒方が自供を始めたことは、すでに記した。

 元福岡県警捜査一課特捜班のT班長(78)が、松永の“その後の変化”について語る。

「緒方が自供するという話を弁護人から聞いた松永は、緒方に助けてくれと鳩を飛ばしているでしょ。だから、緒方が黙秘をやめたことは知っているんですね……」

「鳩を飛ばす」とは、弁護人を通じて、他の警察署で勾留されている緒方にメッセージを送るという意味だ。T班長は続ける。

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source : 週刊文春 2026年6月25日号