2013年1月、その人は、クリーム色のゆったりとしたローブに毛皮のストールをまいた装いで自宅の客間に現れた。お馴染みの黄色い髪はカチューシャでまとめられている。小誌の取材で、自身の半生をこう振り返っていた。


「私は世間的に糾弾されたり、日本中を敵に回したりして、普通の人なら自殺しているような人生を送ってきましたけども、そのたびに支えになってくれた友情なり愛情なりにすごく恵まれていたんです」


 美輪明宏、享年91。最期まで愛と平和の伝道師であり続けた。

「ごきげんよう」は14年の流行語

 3カ月前に体調を崩し、自宅で静養していた美輪が老衰で死去したのは、6月20日の朝。最期の言葉は「ありがとう」。告別式の祭壇には、生前愛した黄色の薔薇が飾られた。

 晩年まで美輪に寄り添ったのは所属事務所社長で養子のA氏だった。

「文学座出身の元俳優。17歳の時、美輪さんに見初められ、付き人として自宅に住み込むように。それから50年以上、公私にわたりサポートしていました」(演劇関係者)

 冒頭の取材で、小誌記者から養子にした理由を尋ねられた美輪は、「報いてあげたいと思うじゃないですか!」ときっぱり答え、A氏への感謝と愛を口にしていた。

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source : 週刊文春 2026年7月9日号