「ついに来ちゃいましたよ、文春」。笑顔で現れた実名での証言者、カウアン。取材班の次なる目標は、国内外のメディアを動かすため、記者会見を仕掛けることだった。
日曜日の朝、10時過ぎまで寝ていた少年は、知らない番号からの着信の音で起こされた。
「僕だよ、ジャニーだよ」
名前を聞いても半信半疑だった。
「ユーさ、DVD送ってくれたよね。『Baby』歌ってるの見たよ」
それで“本物”と気づいた。2012年、15歳だったカウアン・オカモトは、ジャスティン・ビーバーの曲を歌う映像をジャニー喜多川の手に渡るよう送っていたのだった。
「今日、(東京)国際フォーラムでSexy Zone(現timelesz)のライブやってるから来て」
愛知県豊橋市の県営団地に住んでいたカウアンは、その数時間後には東京のステージに立たされていた。5000人の観客を前にアカペラで、「Baby」を歌い、ジャニーズJr.(以下、ジュニア)の一員となった。中学を出たら地元の工場で働くことを半ば覚悟していた少年にとって、人生がひっくり返った瞬間だった。オレのストーリーがここから始まるんだ。そう思った。
出稼ぎで来日した日系ブラジル人の両親のもとで生まれ育ったカウアンは、ジャニーズ事務所についての知識はほとんどなく、ジャニーのジュニアに対する性加害についても全く知らなかった。
最初にジャニーに会った日の夜、渋谷のマンションの最上階にあるジャニーの自宅のリビングでのことだった。ジャニーが自分の肩を揉むと、他のジュニアが「うわっ」という声を上げた。不思議に思って、その後ネットで調べると、ジャニーがジュニアを襲うという噂が載っていた。だが襲うというのがどこまでの行為を指しているのかはわからなかった。
ジュニアとなって1カ月ほどが経ったときだった。ジャニーの自宅で寝ていると、深夜にジャニーのスリッパの足音が聞こえてきた。
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source : 週刊文春 2026年8月6日号






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