第20回 女性を使い捨てにした東京オリンピック

2021年8月6日配信分

「週刊文春」編集長

「オリンピックで使い捨てにされているのはみんな女性ですね」

 今週号の五輪記事を担当した入社2年目の女性記者は、原稿を書く先輩女性記者にこう漏らしたそうです。

 前回のニュースレターでお知らせした通り、今週号では開会式で起きていた新たな事件を報じました。さらに、開会式で渡辺直美さんを侮辱するような演出プランを提案し、責任者を辞任された佐々木宏氏が、閉会式でも唖然とするプランを提出していたことを、プレゼン資料と共に掲載しています。

 佐々木氏は、演出責任者だったMIKIKO氏にとって代わると、彼女のプランを切り刻み、都合のいいところを“つまみ食い”する一方、森喜朗氏や小池百合子都知事の要望は取り入れて、演出プランを作っていきました。入手した佐々木氏の演出プランを見る限り、それは“昭和のテレビのノリ”であり、“おっさんテイスト”全開です。渡辺直美さんを「オリンピッグ」にして「ブヒー」。そして、今回発覚した閉会式の元ネタは、テレビ番組の「アメリカ横断ウルトラクイズ」でした。その上で、天皇陛下にも○×クイズに参加させるというもの。東京オリンピックを締めくくる理念が全く伝わらない、こうしたセレモニーを、世界に向けて発信しようとしていたかと思うと、めまいがします。

 しかし、渡辺直美さんの侮辱演出プランが小誌報道で発覚し、佐々木氏が辞任した後も、組織委員会の体質は全く変わっていませんでした。

 開会式を翌日に控えた7月22日の夜9時、一本の電話が鳴りました。この日の午前、演出を統括していた小林賢太郎氏が解任。組織委員会は、「演出内容は小林氏一人で演出を手掛けている個別の部分はない」として予定通り、開会式を実施すると発表していました。

 ところが、実は、BGM2曲を差し替えていたのです。お笑い芸人のなだぎ武さんのパフォーマンスで使われる曲でしたが、小林氏の過去の公演のために作られた曲でした。夜9時の電話は、その差し替えの依頼。受けたのは、28歳の女性作曲家の関向弥生氏でした。何人かに断られた末、彼女にたどり着いたようです。関向氏は、そこから6時間で、30秒の曲を2曲完成させ、納品しました。時間は、開会式当日の午前3時。開会式の始まる17時間前でした。

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source : 週刊文春

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