第27回 編集長が痺れた、震えた落合博満の言葉

「週刊文春」編集長

<放心している...。放心しながら頬を涙がこぼれ落ちている...。(略)とんでもないものを読んでしまった。これはとてつもないノンフィクションだ。いや、そんなジャンルにこだわらず、とてつもない「本」だった…。>

 “日本一他社の本を売る営業”で知られる「本の雑誌社」営業マン・杉江由次さんがこう絶賛している本があります。その本とは「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」。

 小誌で連載中から大きな反響を呼び、ついに本になりました。電子版の連載コーナーに全28回を収録しており、ご存じの方もいるかも知れません。9月24日に発売される単行本は、大幅に加筆修正し、新たな章を加えて476ページ。本の厚さは、4センチ弱、いわゆる“鈍器本”です。

 私が、著者の鈴木忠平さんに、落合のことを書いてもらいたいと思ったきっかけは、2018年、ナンバーWEBに掲載された記事でした。中日、阪神、楽天を優勝させた星野仙一元監督が亡くなった時に書かれた、いわゆる追悼原稿です。

 短い原稿の中に、対照的な2人の指揮官を見事に描いていました。私は、落合の次の言葉に痺れました。

「俺はひとりで来る奴にはしゃべるよ」

 この原稿は、私の落合観を変えました。私はかつて、「ナンバー」でプロ野球の取材をしていました。落合と言えば、金にうるさくメディア嫌い。当時、中日の監督だった落合に出てきてもらおうと同僚が何度もアプローチしていましたが、まったく叶いませんでした。

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source : 週刊文春

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