ノーベル賞学者の「KAGRA計画」 重力波の検出は事実上、不可能に

スクープ速報

「週刊文春」編集部
ニュース 社会 テクノロジー サイエンス

 ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章氏(62=東京大学宇宙線研究所所長)が研究代表者を務める「大型低温重力波望遠鏡KAGRA計画」。今年6月末、目標としてきた数値を大幅に引き下げ、事実上、重力波の検出が不可能になっていることが「週刊文春」の取材でわかった。KAGRA内部の会議音声などを入手した。

完成式典でボタンを押しているが…… ©共同通信社

 旧神岡鉱山(岐阜県飛騨市)の地下に建設されたKAGRAは、重力波を捉える装置で、昨年2月から本格的な観測を始めた。

「重力波とは、非常に重い天体が加速度運動する際に生じる時空の歪み。観測することで宇宙の成り立ちやビッグバン発生のメカニズムなどを解明できるとされます」(科学部記者)

 2012年に〈世界の学術研究を先導する画期的な成果を挙げる大型プロジェクト〉として、文科省の「大規模学術フロンティア促進事業(2013年度~2022年度)」に採択されたKAGRA計画。以降、日本学術会議が3年ごとにまとめるマスタープランを踏まえ、文科省がロードマップを策定してきた。

O3で8~25MPcを目指す(19年版のシナリオペーパー)

 文科省研究振興局によれば、投じられた税金は建設費164億円、運営費26億円。計190億円に及ぶ。

 KAGRAはこれまでシナリオペーパーで、欧米の研究機関と共同で行う〈O4観測(第4期観測)〉で、〈25~130MPc(メガパーセク)〉の感度を達成することを掲げてきた。

「シナリオペーパーは、予算申請にも活用される最重要論文です。いわば、実際の重力波観測に向けた工程表。毎年、米国の研究機関LIGOのHP上で最新版がアップされ、学術雑誌に掲載されます」(KAGRAの研究者)

2カ月99円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

2024GW 特大キャンペーン 誰でも月額プラン最初の2ヶ月99円 4/24(水)〜5/7(火)10:00
  • 月額プラン

    99円/最初の2カ月

    3カ月目から通常価格2,200円

    期間限定

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2021年10月28日号

無料ニュースレター登録はこちら

今すぐ登録する≫

期間限定キャンペーン中!月額プラン2カ月99円

今すぐ登録する≫