「ある時期を目処に仕事を辞職することも念頭にあります(単に体調不調だけではなく、当局の考えや事案対応に相当の違和感と疑問がぬぐえない)」
森友学園との土地取引を巡る公文書改ざん事件で2018年3月7日に命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さん。改ざん後うつ病で休職していた時期、2歳下の弟に送った4通のメールが新たに見つかった。誠実な公務員を追い詰めたのは、改ざんという不正に手を染めた“当局”へのぬぐいがたい不信感だった。
◇
メールは俊夫さんの自宅のパソコンに残っていた。死の間際に改ざんを告発する遺書を書き残したパソコンだ。妻の雅子さんは長いこと見る気になれなかったが、資料の整理のため久しぶりに開けると、夫の弟へのメールがあった。最初は17年8月11日。休職してひと月もたっていない。
「私は、本年2月以降、前例のない事案の担当のため、本年6月末まで毎月100時間を超える残業時間が続き、休日出勤する日もありました。その間、気が張っていたこともあって、風邪など引くこともなく、休暇をとらずに何とか定期人事異動の6月末まで乗り越えてきたのですが、7月以降の人事異動がないことがわかると、急に疲れがあふれかえり、6月中旬頃からは、不眠症が続き、首筋の痛みが続いていたため、遂に7月15日、メンタルクリニックを受診しました」
雅子さんは思い出した。日に日に落ち込んでいく俊夫さんは、7月の人事異動で職場を変えてもらうことを心の支えにしていた。ところが6月下旬に異動がないとわかると、こらえていたものが堰を切ったようにあふれだした。改ざんに関わった上司ら全員が転出し、自分だけ取り残され全責任を負わされると苦しんだ末、うつ病と診断され休職することになった。
メールでは辞職も念頭にある理由として、当局の事案対応への「違和感と疑問」をあげている。当局とは財務本省と近畿財務局、事案対応とは森友事案であり、違和感と疑問は改ざんや虚偽答弁など一連の不正行為を指すとわかる。だが具体的なことは伏せている。早い段階で辞職を覚悟する一方、弟に改ざんの事実を明かす決意はまだ固まっていなかったとうかがえる。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます
キャンペーン終了まで
-
月額プラン
1カ月更新
2,200円/月
初回登録は初月300円
-
年額プラン
22,000円一括払い・1年更新
1,833円/月
-
3年プラン
59,400円一括払い、3年更新
1,650円/月
オススメ!期間限定
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
有料会員になると…
世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!
- スクープ記事をいち早く読める
- 電子版オリジナル記事が読める
- 解説番組が視聴できる
- 会員限定ニュースレターが読める
source : 週刊文春 2021年12月2日号