小誌11月25日発売号で報じた、斉藤鉄夫国交相(69)の演説会を巡る有権者買収疑惑。斉藤氏を支援する広島県トラック協会は翌26日、関連団体「広ト協政策研究会」が有権者を含む参加者10人に旅費名目などで4160円ずつを支払っていたと認めた。
協会は「投票の依頼はしていない。公選法上の問題は一切ない」と強調したが、元東京地検検事の落合洋司弁護士はこう指摘する。
「選挙期間中に自民党の大物議員も応援に来た演説会ですから、具体的な投票依頼がなくとも、斉藤氏を当選させるための会合であることは明白。しかも一律に4160円を支払っており、交通費の実費弁償でもありません。過去の選挙でもたびたび立件されてきた典型的な買収の手口です」
実際、01年の参院選では、自民候補の支援者が演説会の参加者に交通費2000円を手渡したとして逮捕。89年の参院選でも、自民候補の運動員が演説会への交通費として約600円相当のガソリン券を配ったとして書類送検されている。
「選挙は民主主義の根幹。だからこそ、公選法は数百円、数千円単位の買収も禁じているのです」(同前)
にもかかわらず、なぜ広島県トラック協会はそこまでして斉藤氏を支援したのか。
「もともと県トラック協会にとって、比例中国ブロック選出で公明党幹事長などを歴任した斉藤氏はキーパーソンでしたが、今回、運送や物流事業を所管する国交相に就任したことで一層重要度が高まりました」(トラック協会関係者)
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source : 週刊文春 2021年12月09日