温厚な政治家の「らしくない」発言は、自然体の発露か、それとも苦境へのいら立ちか。公明党の山口那津男代表(69)の12月7日の会見が話題だ。岸田文雄首相が意気込む敵基地攻撃能力の保有について、記者が「山口代表は衆院選前は強い慎重論を唱えていたのに、昨日の発言では態度が軟化したようだ」とただすと、「言葉尻をとらえるんじゃなくて、昨日言ったことをちゃんと受け止めてもらいたいと思う」と語気を強める。その後は一旦いつもの丁寧な口調に戻ったかに見えたが、次第に再び熱を帯び、「言葉尻をとらえて後退したとか前進したとか、決めつけはやめなさいっ!」と命令口調に。会見場は沈黙に包まれた。
「目の上のたんこぶだった重鎮二人の引退で山口代表はノビノビしている。これまで隠していた地金が出たのでは」(公明党関係者)
2009年9月以来、12年間も代表を務めながら、太田昭宏前代表や井上義久元幹事長らに頭が上がらなかったが、二人が先の衆院選に出馬せず引退。重しが外れて自由になったとの見方だ。一方で、政治部デスクはこう指摘する。
「山口氏は“三重苦”に悩んでいる。募ったイライラが爆発したのでしょう」
一つは「対自民」。公明は衆院選で18歳以下への一律10万円給付を公約にしたが、ばらまき批判を嫌う自民との協議の末、所得制限をつけ半額をクーポンにすることで妥協。しかし、「足して二で割る」案は世論の反発が強く連日ワイドショーで批判の的に。官邸からは、「そもそも10万円を公約した公明が悪いのに」との不満が渦巻く。
二つ目は「対維新」。日本維新の会は憲法改正に前向きで自民が触手を伸ばす。公明は改憲に慎重なだけに、今後自民から維新と天秤にかけられることも増える。かといって来夏の参院選を考えれば、大阪で連携する維新との関係も無下にできないジレンマがある。
三つ目は党内。日本政策金融公庫からの融資を無登録で仲介した貸金業法違反容疑で、“公明のホープ”遠山清彦元衆院議員の立件は秒読み段階。議員辞職したとはいえクリーンを標榜する党への打撃は計り知れない。代表後継者問題も停滞中。最右翼の石井啓一幹事長は「話がつまらない」と評判は散々で「来秋の任期満了を過ぎても、山口さんに8期目をやってもらうしかない」との声が漏れる。
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source : 週刊文春 2021年12月23日号