大手旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)は12月9日、子会社2社がGoToトラベルを不正に利用した疑いがあることを発表した。問題の子会社はジャパンホリデートラベルとミキ・ツーリスト。HISは8日、弁護士を交えた調査委員会を設置したという。
「スクープしたTBSによれば、少なくとも1万8000泊分以上の実態のない宿泊でGoTo申請が行われた疑いがある。うちジャパンホリデートラベルでは、1泊の料金は補助の上限額が受け取れる4万円で、この契約だけで最大2億7000万円が国から補助されたことになります」(社会部記者)
“GoTo不正”の発覚を受け、HISの株価は前日比10%安と急落。決算発表の延期も余儀なくされた。
「そもそもコロナ禍で旅行会社は苦しい状況ですが、とりわけ海外旅行の比率が約80%と高かったHISは経営への影響が甚大でした」(経済部記者)
観光庁によると、昨年度の旅行取扱高はJTBが19年度比73%減だったのに対し、HISは94%減と大幅減。今年4月期中間連結決算でも、最終利益が過去最悪の232億円の赤字まで落ち込んだ。
「入居したばかりの本社フロアの売却に追い込まれました。HISは創業40年を機に昨年6月、西新宿から『神谷町トラストタワー』4、5階に本社を移していた。最先端のオフィス環境でしたが、コロナが世界中を直撃。今年6月、本社を不動産関連会社『SMFLみらいパートナーズ』に325億円で売却することになりました。以降は、賃借契約を結んで入居を続けています」(同前)
さらにHISは11月2日、第三者割当増資をアジア系ファンド、新株予約権を澤田秀雄会長兼社長が引き受ける形で最大215億円を調達すると発表した。昨年に引き続き、コロナ禍で2度目の増資となる。
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source : 週刊文春 2021年12月23日号